税理士との面談、その移動時間は本当に必要ですか?──オンライン面談を基本にしている理由
- 3月22日
- 読了時間: 4分
突然ですが、税理士との面談のために、わざわざスケジュールを空けて本社まで足を運んだことはありますか。
あるいは、「今日は税理士が来る日だから」と、店舗の片隅で患者さんの応対と並行しながら、慌ただしく数字の話をしたことは。

私は調剤薬局専門の税理士・薬剤師として、全国の薬局経営者の皆さまを支援しています。その中で、こうした場面を何度も目にしてきました。そのたびに感じるのです──この状況は、経営者にとっても、税理士にとっても、本来の姿ではないのではないか、と。
だからこそ当事務所では、すべてのお客様に対して「オンライン面談」を基本としています。今日は、その理由を率直にお伝えしたいと思います。
「1時間のために、半日が消える」という現実
複数店舗を経営されている社長の中には、自らラウンダーとして各店舗を巡回しながら、現場の薬剤師としても動いている方が少なくありません。以前、そうした社長のひとりが、税理士との面談のためだけに本社へ駆け込んでくる、という場面を目にしました。
面談そのものは1時間。でも実際には、その前後の移動、段取りの調整、気持ちの切り替え……気づけば半日近くが飛んでいます。
「時間が惜しい」という話ではありません。限られた時間の中で、どこに何を使うかを真剣に考えている経営者にとって、"税理士に会うための時間"が積み重なると、じわじわと負担になる。そういうことです。
店舗での面談が抱えるジレンマ
では、税理士が店舗へ出向けばいいのでは、と思われるかもしれません。確かにそういった形もあります。ただ、現場を知っている方ならわかるはずです。
調剤室の中で、患者さんが次々と来る状況で、腰を落ち着けて経営の話ができるか。在宅のオンコールがいつかかってくるかもわからない中で、財務数値に集中できるか。
あるお客様から、こんな言葉をいただいたことがあります。「正直、税理士の対応をしながら次の患者さんのことが頭にあって、どちらも中途半端になる感覚が苦痛でした」と。
これは、その方が不真面目なのではまったくありません。それが薬局という現場の実態です。経営と調剤、ふたつの責任を同時に背負っているからこそ、集中できる環境がなければ、大切な相談も表面的なやり取りに終わってしまいます。
オンラインは「手抜き」ではなく、「設計」である
オンライン面談と聞くと、「対面より冷たい」「何となく軽い印象がある」と感じる方もいるかもしれません。その感覚は、決して的外れではないと思います。
ただ、当事務所がオンラインを基本としているのは、効率化のためでも、コストカットのためでもありません。
経営者の方に、"ちゃんと話せる状態"で来ていただくためです。
移動の疲れがなく、日常の業務の合間に、10分の隙間からでも接続できる。店舗の片隅や調剤室の騒音の中ではなく、自分のペースで話せる環境を選んでいただける。そういう状況のほうが、本質的な経営の相談ができると、経験上感じています。
対面には対面の良さがあります。初回のご挨拶や、特に重要な局面での面談は、直接お会いすることに意味があるケースもあります。オンラインがすべてにおいて優れているとは思っていません。
ただ、定期的な打ち合わせのたびに経営者の方が時間と場所を確保しなければならない構造は、税理士側の都合を優先した設計なのではないか、と正直感じています。
薬局経営者の時間の価値を、もっと大切に
薬局経営者の方は、診療報酬改定への対応、人材の確保と育成、在宅医療への参入、多店舗間のオペレーション……常に複数の課題を同時に抱えています。その中で、税理士との面談がひとつの「タスク」として積み上がっていくのは、本来おかしい話です。
私が全国の薬局様を支援する中で一貫して大切にしているのは、専門家としてのサポートが、経営者の方の負担にならないこと。むしろ、その時間が「少し頭が整理された」「次にやるべきことが見えた」と感じていただけるものであってほしい、ということです。
オンライン面談を基本としているのは、そのための小さな、でも大切な工夫のひとつです。


