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調剤薬局における棚卸の重要性

1. はじめに

現代では使いやすい在庫管理ソフトや棚卸アプリが市場に出回っています。このことにより、かつてのように従業員全員で棚卸を行う状況は見かけなくなりました。しかし、それでも棚卸には工数がかかりますので、実際に定期的に行っている薬局はまだ少ないのではないでしょうか。日々の業務運営に忙殺されて、棚卸の重要性を見落としている調剤薬局の経営者も少なくないかもしれません。

しかし、棚卸は調剤薬局の経営にとって非常に重要な要素であり、正確に行うことで経営効率と税金の節約に大きな影響を与えます。


2. 棚卸の定義と目的

棚卸とは、在庫品の数量と品質を確認し、在庫管理と財務レポートの整合性を保つための作業です。調剤薬局では、医薬品や医療用品などの在庫を適切に管理することが求められます。これにより、適切な供給体制を維持し、無駄な在庫や期限切れの商品を減らすことができます。


3. 棚卸の経営への影響

適切な棚卸は経営効率の向上につながります。薬剤の在庫管理が適切に行われている場合、不足や過剰在庫による損失を避け、コストの節約が可能です。さらに、廃棄物の削減にもつながり、環境面でもプラスに働きます。

棚卸により現状の在庫状況を把握することで、適切な発注を行い、供給過剰または不足からくるリスクを低減することができます。また、在庫の期限も把握することによって、期限切れが起こる前に他の調剤薬局に売ることもでき、経営も安定化します。


4. 棚卸と税務

棚卸は税務面でも重要な役割を果たします。在庫評価は税務上の利益計算に直結し、正確な棚卸により、利益の算定が適正に行われ、必要以上の税金を支払うことを避けることができます。また、税務調査時には、適切な棚卸とそれに基づく記録が求められるため、その遵守も必須です。


5. 決算時、在庫を抑えたほうが良いといわれるのは何故か。

よく「同業の先輩から決算の時は在庫を抑えたほうが良いよ。」と言われたけど、どういうことですか?といったような質問をいただきます。

会計上、在庫というのは会社の資産の一部です。一方で、利益計算においては売上原価(商品を販売するために直接かかったコスト)が重要な要素となります。この売上原価を計算するための一般的な公式は次の通りです。

「売上原価 = 期首棚卸金額 + 当期仕入額 - 期末棚卸金額」

この公式からわかるように、期末棚卸金額(つまり決算時点での在庫額)が大きいほど、売上原価は小さくなります。そして売上原価が小さいほど、計算上の利益は大きくなります。

利益が大きくなると、当然ながらその分だけ税金の負担も大きくなります。つまり、決算時に在庫を多く抱え込むと、税金が増える可能性があります。逆に、在庫を抑えて期末棚卸金額を小さくすることで、売上原価を増やし、計算上の利益を抑制することが可能となります。これにより、税金の負担を軽減することが可能となるのです。


6. まとめ

調剤薬局経営において棚卸は、経営の効率化と税金節約の観点から見て重要なプロセスであると言えます。定期的かつ正確な棚卸を行うことで、薬剤の適切な在庫管理が可能となり、経営の効率化とともに税務上の利益も享受できます。

一見、面倒に思える作業かもしれませんが、経営全体を見渡したときには、その価値は計り知れません。今日からあなたの薬局でも、棚卸を定期的に行うことを心がけてみてください。

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