OTC類似薬の自己負担が変わる?「特別の料金」と消費税の取扱いに注目
2027年3月から、OTC類似薬をめぐる患者負担の仕組みが変わります。
最近、薬局業界でも話題になることが増えてきた「OTC類似薬」。
その制度の具体的な取り扱いが少しずつ明らかになってきました。
さらに税理士として気になっているのが、「特別の料金に消費税がかかるのか」という点です。
2026年9月30日に厚生労働省から公表された事務連絡では、この消費税の取扱いについて、まだ政府内で検討中であることが示されています。厚生労働省
今回は、現時点で分かっている内容を整理してみたいと思います。
そもそも「OTC類似薬」とは?
OTCとは「Over The Counter」の略で、ドラッグストアや薬局などで処方箋なしに購入できる一般用医薬品などを指します。
一方、今回制度の対象となる「OTC類似薬」は、厚生労働省の表現では、「要指導医薬品又は一般用医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品」です。厚生労働省
つまり、医療用医薬品として処方されているものの、OTC医薬品にも同じような成分・用途のものが存在する薬について、これまでと同じようにすべてを保険給付の対象とするべきなのか、という議論です。
今回の制度では、まずロキソプロフェン、フェキソフェナジン、ヘパリン類似物質、酸化マグネシウムなどを含む77成分が対象となっています。厚生労働省は、2027年3月1日から新しい仕組みをスタートするとしています。厚生労働省
薬剤費の「4分の1」を別途負担する仕組みへ
今回の見直しは、「OTC類似薬を保険から完全に外す」というものではありません。
対象となる医薬品について、薬剤費の4分の1相当額を「特別の料金」として患者が別途負担する仕組みです。
残りの部分については保険給付の対象となり、そこから通常の患者自己負担額を計算します。厚生労働省からは、その具体的な計算方法についてもすでに通知が出されています。厚生労働省
したがって、
「OTC類似薬=全額自己負担になる」
という理解ではありません。
保険診療の中に、一部保険外の負担を組み合わせる仕組みになっています。
なお、政府方針では、今後の施行状況を確認しながら対象範囲の拡大や、現在4分の1とされている負担割合の引上げについても検討するとされています。今回だけで終わる制度ではない可能性がある点にも注目しておきたいところです。厚生労働省
そして気になる「消費税」
ここからは税理士として少し気になるところです。
通常、保険診療に係る収入は消費税の非課税取引です。
ところが今回新たに設けられる「特別の料金」について、2026年9月30日の厚生労働省の事務連絡には、次の趣旨の記載があります。
一部保険外療養に係る特別の料金に対する消費税の取扱いについては、現在政府内で検討中であり、税制改正の議論を踏まえて年末を目途に示す。 厚生労働省
つまり、現時点ではまだ結論が出ていません。
ここは今後、薬局側も税理士側も確認しておく必要がありそうです。
長期収載品の「選定療養」では課税されている
参考になるのが、すでに始まっている長期収載品の選定療養です。
後発医薬品があるにもかかわらず、患者の希望によって長期収載品を選択した場合には「特別の料金」が発生します。
こちらについて厚生労働省は明確に、「特別の料金は課税対象」としており、消費税分を上乗せして患者から徴収する仕組みになっています。厚生労働省
そのため、OTC類似薬についても同じ整理になるのかどうかは、個人的にも気になっているところです。
ただし、似た仕組みだからといって、現時点で「OTC類似薬の特別料金にも消費税がかかる」と断定することはできません。
厚生労働省自身が「検討中」としていますので、年末に向けた正式な取扱いを待つ必要があります。
薬局だけではなく、税理士も知っておきたい改正
仮にOTC類似薬の「特別の料金」が消費税の課税対象となれば、これは単に患者さんの支払額が少し増えるというだけの話ではありません。
薬局側では、レジやレセコン、会計処理などで、保険診療による非課税売上と「特別の料金」に係る課税売上を適切に区分する必要が出てくる可能性があります。
薬局はもともと、保険調剤という消費税非課税の売上と、OTC販売などの課税売上が混在する業種です。
そこへ新しい課税取引が加わるのであれば、消費税申告を担当する税理士側も制度を理解しておかなければなりません。
医療制度の改正ではありますが、制度変更がそのまま税務・会計実務にも波及する可能性があるということです。
今後もOTC類似薬の動向を追っていきます
OTC類似薬については、今回の77成分で議論が終わるわけではありません。
対象範囲の拡大や患者負担割合、対象外となる患者の考え方など、今後も制度が動いていくことが想定されています。厚生労働省
そして今回取り上げた消費税についても、2026年9月30日時点ではまだ結論が出ていません。
薬局経営に関係する制度は、診療報酬・調剤報酬だけを追っていればよいわけではなく、その周辺にある税務や会計まで含めて見ていく必要があります。
「制度が変わった結果、薬局経営に何が起きるのか」
この視点から、OTC類似薬をめぐる今後の動きについても引き続き追いかけていきたいと思います。

