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中小企業省力化投資補助金(一般型)、薬局でも使えるのか? 第6回公募の文言変更を冷静に読み解く

  • 4 時間前
  • 読了時間: 5分

はじめに

最近、「中小企業省力化投資補助金(一般型)が薬局でも使えるようになったのではないか」「分包機の導入に使えるのか」というご質問をいただくことが増えました。

SNSや業界内での口コミで話題になっているようで、関心をお持ちの薬局経営者の方も多いかと思います。

今回は、この補助金について現時点でわかっていることを整理しつつ、実務家としての率直な所感もお伝えできればと思います。結論から申し上げると、「可能性が出てきた」と「確実に使える」は、まったく別の話です。


中小企業省力化投資補助金(一般型)とは

この補助金は、中小企業等の付加価値額や生産性の向上を図り、賃上げにつなげることを目的とした制度です。

カタログ型と一般型の2種類があり、今回話題になっているのは「一般型」のほうです。一般型は、個別の現場の実情に応じた設備導入やシステム構築なども対象になり得る点が特徴で、業種を問わず幅広い事業者が対象となりえます。第6回公募が話題になったのは、後述する公募要領の文言変更がきっかけです。


そもそも、薬局が補助金を使いにくかった理由

薬局が補助金の申請を検討する際に、長年ネックになってきた記載があります。

多くの補助金の公募要領には、「公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等との重複がある事業は補助対象となりません」という趣旨の記載がされていました。

つまり、保険薬局として調剤報酬を受け取っている事業者は、その事業と関連する設備投資について、補助金の対象から外れるとも読める記載になっていたわけです。中小企業省力化投資補助金も、第5回公募まではこのような読み方ができる記載がありました。そのため、「薬局には使えない」と判断されてきたケースが少なくありませんでした。


第6回公募で、文言が変わった

ところが、第6回公募の公募要領では、この部分の記載が以下のように変わっています。

「(過去又は現在の)国(独立行政法人等を含む)が助成する制度との重複を含む事業を申請する事業者のうち、固定価格買取制度等(公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬は除く)や、(過去又は現在の)国(独立行政法人等を含む)の補助金と補助対象経費が重複する事業は補助対象となりません。」

重要なのは、「公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬は除く」という括弧書きが加わった点です。

この文言変更により、第5回公募までの記載と比べると、「保険薬局だから直ちに対象外」とは言い切れなくなった可能性があります。これが今回の話題の背景です。


では、薬局の分包機はすぐに対象になるのか

ここからが、慎重に考える必要がある部分です。

まず、現時点(令和8年3月19日)では申請受付はまだ始まっていません。文言が変わったことは事実ですが、実際の審査でどのように運用されるかは、現段階では不明です。

また、「申請できる可能性が出てきた」と「申請すれば採択される」は、まったく別の話です。この点は強調しておきたいと思います。

分包機のような設備が、審査においてどのように評価されるかは個別の判断になるはずです。設備の種類、導入目的、省力化への貢献度、事業計画の内容など、さまざまな要素が審査に影響します。文言が変わったことで"門前払い"のリスクは下がったかもしれませんが、それは通過点に過ぎません。

もともと分包機の導入や大型設備投資を検討されていた薬局であれば、申請を検討してみる余地はあるかもしれません。ただし、「補助金がもらえる前提」で意思決定することは、非常に危険です。


実務家として感じること

これまで、さまざまな補助金の申請に関わってきた中で、いくつかのことを実感しています。

採択されたとしても、当初の申請額から大幅に減額されて交付されたケースを見てきました。申請の手間や時間も相当かかります。また、交付決定が出るまでの間、設備の発注や支払いのタイミングにも制約が生じます。

補助金はあくまで「追い風」であって、投資判断の「前提条件」にすべきではありません。

薬局経営において設備投資を判断する際には、補助金の有無にかかわらず、その投資が経営上妥当かどうかを先に考えることが大切です。資金繰りへの影響、投資回収の見込み、導入後の運用コストなど、補助金を除いた視点での判断が基本になります。

話題になっているからといって、流れに乗って動くことは避けていただきたいと思います。


まとめ

第6回公募での文言変更は、これまでと比べて薬局にとって前向きな変化である可能性があります。その点は否定しません。

ただし、現時点で「薬局の分包機に使えば確実にお金が戻ってくる」と断言できる状況ではありません。申請の可否・採択の可否、いずれもこれから実際の運用を見ていく必要があります。

情報が先行しやすいテーマだからこそ、冷静に判断することが重要です。もともと設備投資を検討されていた方が、選択肢のひとつとして情報を収集されることはよいことだと思います。しかし、「補助金ありき」で経営判断を組み立てることは、リスクを伴います。

補助金はあくまで経営判断の一要素です。まず経営の観点から投資の是非を判断し、その上で補助金を活用できるかを検討するという順序を大切にしていただければと思います。


お知らせ

本ブログの内容はあくまで私見であり、補助金の採択を確約するものではありません。

また、当事務所では顧問先様のみ補助金申請支援を承っております。スポットでのご支援・個別のご相談・ご質問は受け付けておりませんので、あらかじめご了承ください。

補助金の制度詳細や個別の申請可否については、公募要領や事務局の案内を直接ご確認いただくか、中小企業診断士などの専門家にご相談されることをお勧めします。


本記事が、薬局経営における設備投資のご判断に、少しでもお役に立てれば幸いです。


参考URL;

中小企業省力化補助金https://shoryokuka.smrj.go.jp/

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