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調剤報酬改定の「短冊」が公表 ― 今、何が決まっていて、何を判断すべきでないのか

調剤報酬改定に関する短冊(個別改定項目案)が公表されました。

薬局経営者の皆さまにとって、「短冊」という言葉はすでにおなじみかと思います。しかし、短冊が公表されるたびに、次のような疑問が湧いてくるのではないでしょうか。

  • これはもう確定事項なのか

  • 今すぐ何か対策を打つべきなのか

  • 新しい加算にどう対応すればいいのか

本記事では、薬局専門税理士の視点から、短冊の位置づけを整理したうえで、「今確定していること」「まだ確定していないこと」、そして「経営判断を急ぐべきでない理由」を解説します。


「短冊」とは何か ― 最低限押さえておきたい基礎知識

短冊とは、診療報酬・調剤報酬改定に向けて示される個別改定項目"案"のことです。改定の方向性をまとめた資料であり、具体的な点数や算定要件が確定する資料ではありません。

短冊から読み取れるのは、以下のような情報です。

  • どの分野を見直す予定なのか

  • 国がどのような考え方を重視しているのか

つまり、政策的な意図を把握する段階の資料という理解で十分です。


短冊公表の現時点で「確定していること」「確定していないこと」

今回の短冊を受けて、何が決まり、何がまだ不確定なのかを整理しましょう。

✓ 確定していること

  • 改定の方向性

  • 見直しの対象となる項目

  • 国が重視しているテーマ・政策意図

× まだ確定していないこと

  • 実際の点数

  • 算定要件の詳細

  • 現場での具体的な運用方法

実務に直結する部分は、告示・通知が出て初めて確定します。

短冊の段階では「どうなる可能性があるか」を考えることはできても、「具体的にどう動くべきか」を判断する材料としてはまだ不十分なのです。


調剤報酬改定の今後のスケジュール(概要)

改定は、おおむね次のような流れで進行します。

  1. 短冊(個別改定項目案)の公表 ← 今ココ

  2. 中医協での議論

  3. 厚生労働大臣への答申

  4. 告示・通知の発出

  5. 実際の算定開始(4月〜)

薬局の実務に影響が出るのは「告示・通知」以降です。

短冊は、いわば「これからこういう方向で議論を詰めていきます」という予告に近い位置づけと考えておくのが適切でしょう。


参考事例:2年前の「ベースアップ評価料」から学ぶこと

今回の短冊を読み解くうえで参考になるのが、2年前の医科・歯科におけるベースアップ評価料の事例です。

当時も以下のような流れがありました。

  • 短冊公表直後は期待が先行

  • 人件費補填への関心が高まった

  • 実際の運用が見えたのは告示・通知の後

結果として、次のような声が多く聞かれました。

  • すべての医療機関が対象になったわけではなかった

  • 届出や運用のハードルが想像以上に高かった

調剤報酬においても、同様の構造になる可能性は十分にあります。


調剤報酬改定で本当に見るべきポイントとは

短冊を見ると、どうしても「点数が上がるか下がるか」に目が行きがちです。

しかし、薬局経営の視点で本当に重要なのは以下の3点です。

  1. 届出要件の実現可能性

  2. 継続的に算定できる体制が組めるか

  3. 人件費・業務負担とのバランス

一時的に点数が取れたとしても、

  • 人員を増やさないと運用できない

  • 事務負担が過大になる

  • 将来の改定で要件が厳格化される

といった状況であれば、経営判断としては慎重であるべきです。


薬局専門税理士としての現時点でのスタンス

現時点では、顧問先の薬局に対して以下のスタンスをお伝えしています。

  • 短冊段階では経営判断を急がない

  • 点数を前提とした投資や人員計画は控える

  • 告示・通知が出てから損益(PL)への影響を精査する

「早く動くこと」よりも、「間違った方向に動かないこと」の方が重要な局面です。


まとめ:短冊は"情報を整理するための資料"

短冊は重要な資料ですが、それだけで経営判断を下す段階ではありません。

  • 方向性は見えた

  • 詳細はこれから

  • 判断はもう一段先

今は情報を冷静に整理し、次に出てくる告示・通知を待つ。それが、結果的に最もリスクの少ない対応だと考えています。


(補足)薬局専門税理士から見た今回の短冊

毎度のことですが、短冊を眺めていると、「点数をどう配分するか」以上に、「どのような薬局像を評価したいのか」という国のメッセージが見えてきます。

この視点については、告示・通知が出た段階で改めて詳しく整理し、薬局経営への影響を考察したいと思います。

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